IHクッキングヒーターを検証!

IHクッキングヒーターは、使いやすさ、安全性、高機能と三拍子そろったコンロだとメーカーは大いに売り出している。
だが本当に「21世紀の台所道具」なのだろうか?
検証により、真実の姿が暴露する。
高い温度が出ない 発熱し、発火の危険も
野菜炒めと、ステーキを作ってみました。  IHヒーターに適しているはずの鉄フライ  
 IHヒーターで炒めた野菜炒めは、野菜、油、調味料の味がバラ パンを30秒ほど余熱したら、ドーナツ状に
バラでまとまりがなく水っぽい。 発熱しました。この発熱したフライパンに、
 ステーキは、ガスと同じくらいの焼き目をつけると、肉に火が そのまま油を入れると2〜3秒で発火し炎が
通り過ぎてパサついてしまう。 立ち上がりました。市販のIH対応フライパン
 野菜炒めをしたときの消費電力を測ると、調理時間6分半のうち 10種類で実験を行ってみると、薄手の鉄フ
4回(時間にして約2分)も、火力が弱まってしまいました。勝手に ライパンだけ発熱化して発火しました。
火力が下がるIHヒーターは、強火を使う料理には向きません。 このときも、IHヒーターの加熱防止はすぐには働きませんでした。

      
磁場ができ、この電磁場は、波のように動くことから、電磁波と
もいいます。ですから、家電製品を使うと必ず電磁波が発生する
のです。
 どのメーカーのIHクッキングヒーターにも「心臓用ペースメー
家電製品中、最も強いひとつ 相談の上、お使いください」と注意書きがあります。これは、電
 電磁調理器から出る電磁波は、10センチ離れていて80〜 磁波が、ペースメーカーや医療用クリップなどの精密医療器具を
370mG、50センチでは5.5〜7.2mGという測定結果があります。 誤作動させる可能性があるからです。一方、電磁波をあびつづけ
電子レンジが10センチで40〜102mG、50センチの距離で た場合の健康への悪影響を懸念した報告もあります。
4.3〜8.2mGですから、これは家電製品の中でも最も強力な  しかし、現段階では、精密機器への影響はかなりはっきりして
電磁波発生源といえます。 きましたが、人への影響ははっきりしていません。


安全距離 誰が妊婦に安全と言えるか
 IARC(国際ガン研究機関)や欧米が問題視しているのは3〜  電磁調理器は強い磁場をつくることで加熱調理する構造のため、
4mGです。これ以下とするためには、1〜2m離れる必要があり 電磁波の「開放系」による利用となります。これは電子レンジの
ます。 ように電磁波防護シールドが施された「密閉系」と異なり、電磁

調理器の正面数10センチの位置で調理する人間の身体に
防止するというエプロン 直接入り込んで誘導電流をつくります。その誘導電流が体内
電磁波をさけるために、電磁波防止エプロン(おもにパソコ で熱を発生させ、発病のみならず、「比熱効果」によって白血病
ン用)は、役に立つのでしょうか。 やガンなどを引き起こす可能性があるのではないかと世界の
 パソコンショップで売っていた定価15,800円と5,800円の2 研究事例は警鐘を鳴らしているのです。
種類のエプロンの効果を、オールメタルIH、従来型IHで測定して  電磁調理器は他の家電製品と異なり、
みました。 その使用態様上、どうしても機器と接近せざ
 結果は、電磁波の強さを示す数値は少しも減らず、ほとんど役 るを得ず、しかも強い被爆をする点が最大の
にたちませんでした。じっさいに、不快感を感じる人に着てもら 不安要因です。果たして、妊娠中の女性が
ったが、やはり効果はありませんでした。 電磁調理器に長時間向かうことに、未だ確定
的な安全の根拠が示されていないのに、
誰が責任をもって安全であると断言できるで
しょうか。


不快感を感じる 求められる家電製品の電磁波規制
 オールメタルIHは、従来型IHとちがって、キカイの内部で約  これまでIHクッキングヒーターは、家電製品のなかでも、電磁
60キロヘルツの交流電流を使っています。従来型は約20キロヘ 波が特に強いとされてきました。
ルツといいますから、電磁波の出る範囲が3倍広がったのです。  ところで、パソコン用ディスプレイの電磁波は、法的規則のな
 測定や調理をしていると、頭や胸を圧迫されるような感じがず い日本でも業界団体の自主規制値が決められています。IHクッキ
す、という人が出てきました(12人中8人。男女各4人)。 ングヒーターも2万ヘルツあたりまでの電磁波が出ているのです
 感じ方の程度はさまざまで、「集中力が落ちて疲労感を感じる」 から、この規制値(前面50pの距離で0.025マイクロテスラ
人から、「頭の血管をしめつけられるよう」という人もいて、さ 以下)に従うべきだと考えています。
らに、左側の3キロワットIHも同時に使うと、不快感はさらに強  今回テストした機種を公的機関で測定したデータが発表されて
まり、キカイに近づけない人もいました。 いないのが残念ですが、電磁力でナベ底を温めるというしくみ
 もちろん、まったく感じない人もいて、感じない人にとっては、 なのですから、いくら低減化の技術開発が進んでも漏れが強く、
不快感を訴える人の意見は、まったく理解できないものでした(強 浴びる量は多くなるのです。
い不快感を感じる人は、電車に乗った時、携帯電話をかけるとき、
電子レンジを使うときに、オールメタルIHほどではないが、違和
感を感じるという)。

電磁波、本当に安全?
世界は電磁波にどう対応しているの

WHO
は2005年にかけて電磁界に対する健康影響評価を発表する予定です。世界の電磁波問題の大きな潮流に応えていこうとの姿勢
が読み取れます。

WHOのガン研究の専門機関
IARCは、超低周波電磁界は、小児白血病に関する疫学研究結果に基づき「ヒトに対して発ガン性がある
可能性がある」
と分類しました。

スウェーデンでは1992年、厳しい基準で幼稚園や小学校、団地などの近くを走る高圧送電線を撤去させています。

1994年では
アメリカでも送電線を公共の施設から離すことを決定しました。

米英では携帯電話を規制。

2000年、
スイスでも「予防原則」に基づいた規制値を設定。イタリアでも同様の動きがあります。
※この記事は暮らしの手帳 2003年2月号・3月号≠ニ電磁波問題を考える
(制作・発行/株式会社石油化学新聞社 プロパン・ブタンニュース)の内容を当社で抜粋、再編集したものです。